昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

デパート

 幼稚園のころ、学校の門のところで母がぼくの帰りを待っていました。横断歩道を渡って平河町の停留所から都電の9番線に乗りました。赤坂とは反対方向で、「水天宮行き」でした。電車は三宅坂のところで右折しました。桜田門、日比谷を通って銀座2丁目の停留所で降りるとそこは銀座の繁華街です。
 あとで判ったのは、母はデパート内をブラブラすることを楽しみたかったようです。何かを買うわけではありません。買えば祖母にバレてしまいます。デパートに行くこと自体が内緒でした。
 叔母のE子ちゃんと会うには待ち合わせをしなければいけないし、だいいちE子ちゃんは銀座で働いていたので仕事中です。E子ちゃんと待ち合わせして会うのは渋谷の東横が多かった気がします。もっと前のE子ちゃんが女子高生、やはり叔母のK子ちゃんが中学教師のころは池袋の西武デパートが多かったようです。叔母のK子ちゃんとE子ちゃんは姉妹です。K子ちゃんが大学を卒業するとともにE子ちゃんが短大に入りました。二人は新井薬師の一軒家を借りていました。
 祖母は外交の途中、一旦家に帰って昼ごはんを食べることもありました。嫁である母は気づまりな時もあったのでしょう。安保反対デモの日は幼稚園も午前中で早退でしたから、それにかこつけて母は銀座に羽を伸ばしに出かけたようです。
 外出から帰って祖母が待ちかねた表情でいると、ぼくは「今日はデパートに行かなかったよ」と告げます。それですっかりバレていました。

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