將遊山 田能村竹田
田能村竹田は文人画家です。1777年生まれ。豊後の生まれですが、熊本、京都に遊学、ついで江戸では谷文晁に師事しました。上田秋成、中島棕隠、頼山陽、菅茶山らと交流をもちました。
將遊山 將(まさ)に山に遊ばんとす
落落長松下 落落たる 長松の下(もと)
抱琴坐晩暉 琴(きん)を抱いて 晩暉(ばんき)に坐す
清風無限好 清風 無限に好し
吹入薜蘿衣 吹き入る 薜蘿(へいら)の衣
落落=高く抜き出るさま。樹木などが高くそびえるさま。
長松=背の高い松。
晩暉=夕陽。
清風=涼しい風。さわやかな風。
薜蘿衣=かずらで織った着物。隠者の服。薜蘿はかずら、つた。
山中に高くそびえる松の根もとで琴を抱き陽を浴びながら座っていると、心地よい風が絶え間なくかずらで織った着物を通り抜ける。すがすがしい脱俗の境涯である。
(参考:岩波書店)