昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

下北沢 39円スナック

 ちょっと遡って昭和51年ごろです。下北沢に39円スナックというのがありました。確かふつうのスナックだったのが、店が変わってワンドリンクお通し付きで39円になったと思います。
 スナックといっても女の子もいなくてバイトかなんかの店番みたいのがいて、ぺったんこのソファに薄暗い店内で大人しく飲む客が多かったです。2階なのでちょっと目立たないところでした。


 友人Oと昼間喫茶店で暇をつぶして話し足りないときに、このスナックを利用したことがあります。アルコールがちょっと入っただけでも、酔ってしまうOはグラスに水割りが残っているのに、ソファにもたれてぐったりしていました。生きてるだけで苦痛だ、といつもの口癖が始まりました。
 ぼくが彼の首を絞める真似をすると、そのまま絞めてくれよ死んでもいいんだから、と言います。
 すぐ飽きてジュークボックスで曲を掛けました。ここの売りはジュークボックスがあることです。「ルージュの伝言」とか掛けました。100円で2曲掛けられました。


 別の日、知り合いの女性Aさんと下北を散歩して夜遅くなったので39円スナックに入りました。Aさんとは二人きりでお茶した覚えもなく、そんなに親しくありませんでした。ですが、そのときはソファに二人並んで通りを見下ろす窓に向かって腰かけました。
 水割りを2、3杯飲んでAさんは酔ったのかぼくの肩に頭を乗せてきました。ぼくは平静を装い恋人気分を楽しみました。もう終電は過ぎていました。ふつうだったら店を出て云々、です。南口の忠実屋の脇道を行くと温泉マークがありました。


 結局、彼女はタイプじゃなかったのです。遠慮させてもらいました。39円スナックを出て明け方まで歩きました。
 気づいたら「幡ヶ谷」駅にたどり着いていました。始発がもう走っていましたので、京王線で「明大前」までいっしょに乗りました。井の頭線に乗り換えて彼女は吉祥寺方面、ぼくは下北沢方面に乗ってお別れしました。

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