良寛と貞心尼 ②
①の続きの 手紙のやりとりを挙げてみます。
身をすてゝ世をすくふ人もますものを 草の庵にひまもとむとは(良寛)
久方の月の光のきよければ てらしぬきけりからもやまとも(同)
はれやらぬ峰のうすぐもたちさりて のちのひかりとおもはずやきみ(同)
春の初つかたせうそこ奉るとて おのづから冬の日かずのくれゆけば
まつともなきに春は来にけり(貞心尼)
われもひともうそもまこともへだてなく
てらしぬきける月のさやけき(良寛)
さめぬればやみも光もなかりけり ゆめぢをてらす有明の月(同)
御かへし
天が下にみつる玉よりこがねより 春のはじめの君がおとづれ(同)
或夏のころまうでけるに何(いず)ちへか出給ひけん見えたまはず
たゞ花がめに蓮のさしたるがいとにほひてありければ
来て見れば人こそ見えねいほもりて にほふ蓮の花のたふとさ(貞心尼)
御かへし
みあへする物こそなけれ小がめなる 蓮の花を見つゝしのばせ(良寛)
せうそこ=手紙
(つづく)
(参考:良寛は佛なり)