「孔雀の女」ピヱヱル・ルヰス 翻訳者不明 M・ジュール・マチヱに 身軽な孔雀たちは碧い夢の上で一人の女を追ひかける。 白無垢。祝婚歌。飼はれた動物の羽の。 其の孔雀たちは白い。 羽が白いのだ。女は赤裸だ。 孔雀たちは知った臭ひのする腰に向かって甘へるやうに追ひかける。草を啄(つひば... 続きをみる
詩のブログ記事
詩(ムラゴンブログ全体)-
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ヘルダーリンの詩の翻訳は主に手塚富雄譯と川村二郎譯がありますが、「生の行路」の手塚富雄譯を挙げてみます。 生の行路 もっと偉大なことを求めておまえも昇ろうとした、しかし愛は わたしたちすべてを引きもどす。悩みはもっと強い力でわたしたちの軌道を下にたわめる。 だがわたしたちの生の虹が ... 続きをみる
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白楽天の詩を柏木如亭が訳したものを挙げます。 聞亀児詠詩 亀児が詩を詠ずるを聞く 白楽天 憐渠已解弄詩草 憐れむ 渠(かれ)が已に詩草を弄することを解するを 揺膝支頤学二郎 膝を揺がし頤(あご)を支へて二郎を学ぶ 莫学二郎吟太苦 学ぶ莫れ 二郎が吟に太... 続きをみる
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Guillaume Apollinaire ギョーム・アポリネールの詩
アポリネールの「雨が降る」を紹介します。 雨が降る 降ってくるのは女たちの声 思い出の中でさえ死んでしまっているかのように 君たちもまた降ってくる 僕の人生の素敵な出会いの数々 おお雨粒よ そして竿立ちになったあの雲が不意にいななく 耳に迫る街という街全体に お聞き 雨は降っている... 続きをみる
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ヹルレエヌとくると、一瞬戸惑います。 街上零雨 巷に雨の時雨るるは こころに涙(なんだ)下垂(したた)るにや その心とうにそみ入りし ものの侘びとはなにやらむ 屋宇(やのへ)に土にふり濺(そそ)ぐ あめの淅瀝(おとなひ)しとしとと おもひ倦(うん)じて音(ね)にきけば しぐ... 続きをみる
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ボドレエルの詩を上田敏訳で挙げてみます。 信天翁(をきのたいふ) 波路遙けき徒然の慰草(なぐさめぐさ)と船人は、 八重の潮路の海鳥の沖の太夫(たいふ)を生擒(いけど)りぬ、 楫(かぢ)の枕のよき友よ心閑(のど)けき飛鳥(ひてう)かな、 奥津(おきつ)潮騒(しほざゐ)すべりゆく舷(ふ... 続きをみる
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ジオフレ・リュデルの「戀慕流し」という1130年の詩です。 戀慕流し ジオフレ・リュデル 晝(ひる)はひめもす泣き暮らす 焦(こが)るる憂身(うきみ)の消えもせで 戀慕(れんぼ)のしらべ仄(ほの)かにも 涙まぎらす切なさに 洩らす吐息ぞなかなかに 今のわ... 続きをみる
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前回ヘルダーリンの詩を手塚富雄訳で挙げましたが、今日は川村二郎訳を取り上げてみたいと思います。 故郷 喜び勇んで舟人は帰る 静かな流れへ 収穫を終えたはるかな島から。 私の帰郷もその通りだろう 悩みほどに たっぷりの収穫が もしありさえすれば。 私をかつて育んだ こよない岸よ ... 続きをみる