池袋 文芸地下 「ベニスに死す」
友人Oとは映画も観に行きました。やはり昭和50年ごろです。
池袋に文芸坐という名画座がありましたが、地下に文芸地下がありました。ここに「ベニスに死す」が掛かったので一緒に観に行きました。ですが、また観たいというのでつき合いで連日通うことになりました。それがいつの間にか60回に達したのです。ぼくは単につき合わされて観たのです。それでも二週間は通ったんだろうと思います。
さすがに60回を超えたので次回からの誘いを断りました。彼は一人で通ったようです。おそらく100回ぐらいは観たんだと思います。
ぼくも10回を越えたころからうつらうつらしながら観ていたと思います。そしてしばらくの間、マーラーのアダージェットはうんざりで聴きたくない時期がありました。
彼と喫茶店で話すと「ベニスに死す」の脇役に注目してその人の演技だけを見ていたりもしていたと言うのです。まだ家庭用のビデオが無いころですから、彼にはそれしか方法はなかったと思います。まあ今だったらDVDをくりかえし観るんでしょうね。
池袋の文芸坐は現在でもありますね。新しいビルになってますね。2度ぐらい成瀬己喜男だか高峰秀子特集のときに観に行ったことがあります。