昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

子持ち芸者

 生前祖母から聞いた話です。昭和28年5月ごろ、といったらだいぶ東京の街も復興し赤坂の花柳界も波に乗ってきたころだと思います。
 料亭Nによく出ていた芸者Tさんは子どもを産んだばかりでした。午前中いつも10時ぐらいから踊りの稽古があって行きます。座敷用の足袋をかかえて大家さんのところに寄って、二十円の足袋を十円で七足洗ってくれと頼みます。それから大家さんのところに置いてある赤ん坊を背負って稽古場へいき、午後はご贔屓の人と会っていました。
 名古屋から月に一度、男が訪ねてきますが、ちょうど他のお客と寝ていたので、座敷に出ているとか女中さんは嘘をつきました。ところがその日は三人目が訪ねてきたらしいです。生活の面倒を見てくれるジジイがいました。赤ん坊はいったい誰の子なんでしょう。
 花柳界ではよくある話ですが、祖母は息子夫婦の婚礼の時期だったのでやけに印象に残ってしまったようです。

×

非ログインユーザーとして返信する