薬研坂のパン屋さん
3歳ぐらいの時、薬研坂の下った部分の道を横断してパン屋さんにおつかいに行ったことは前も書きました。パン屋は薬研坂沿いにありました。
店名はパン屋さんらしい名前ではなく個人名でした。ひらがなの表記ですが、子どものときにどうしても読めない「ヰ」の字が使われていて口に出す言葉でしか表せませんでした。
ぼくは言葉を覚えるのが遅かったのか、チョココロネ、そのころコロネなんてシャレた言い方をしたかどうか判りませんが、「にょろにょろパン」と言っていました。
クリームパンは「グローブパン」です。母がちゃんと教えないので自己流で命名するしかありません。
パン屋のおネエさんはそういう隠語みたいなパンの名前もちゃんと判ってくれたのだから、実に優しいひとです。年齢は二十歳ぐらいだったと思います。
子どもが買う甘いものは駄菓子、みたいな時代に菓子パンなら食用染色剤(実際は使用してたんでしょうけど)を気にせず買うことが許された、大げさに言えばそんな思い出も感じます。