昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

彘肩詞     仲雄王

 仲雄王(なかをわう)は元皇族と思われるが、生没年は不詳。『文華秀麗集』の撰上に関わる。序文を作る。


 彘肩(ていけん)は豚の肩肉(ロース)のこと。
 詞は字数の一定しない雑言体を差す。


   彘肩詞       仲雄王(なかをわう)


 彘肩肉赤凝脂白    彘肩(ていけん)肉赤く 凝脂(ぎょうし)白し、
 登俎更待庖丁手    俎に登りて 更に待つ庖丁(はうてい)が手を。
 鑾刀磨石刃如霜    鑾刀(らんたう)石に磨きて 刃霜の如く、
 坐客看之相嚼久    坐客(ざかく)之(これ)を看(み)て 相嚼(あひか)むこと久し。
 鹽梅初和人爭喫    塩梅(えんばい)初めて和(あ)ひ 人争ひて喫(く)ふ、
 口飽情閑何欲有    口に飽きて情(こころ)閑(しづ)けし 何の欲か有らん。
 君不見漢家一壯士   君見ずや、 漢家(かんか)の一壮士(いちさうし)、
 拔劒寧辭一杯酒    剣を抜き 寧(なに)ぞ辞せん一杯(ひとつき)の酒。


 彘肩=豚の肩肉(ロース)




凝脂



庖丁=中国古代の高名な料理人。庖は苗字で丁は名前。



 鑾刀=鸞刀:鸞(らん)という鳥の形の鈴を柄の環につけた刀。


 塩梅(えんばい)=あんばい。現在はあんばいと言うことが通例だが、昔はえんばいとも読んでいた。


 君見ずや=諸君見たまえ、諸君はよく知っているだろう、の意。


 辞=辞退する、ことわる。


 現代語
 豚の肩肉は赤く固まったその脂は白い、料理のまないたの上に乗ってこれから料理の名手庖丁の手ほどきを待っている。
 鈴をつけた刀を石にかけて磨き、その刃は霜のごとく白く光り、一座の客はこれを見て刀で切られたその肉を長く掛かって味わいつつよく噛む。
 味かげんがやっと程よくなって座席の人たち我先にとその肉を食らう、口で飽きるほど食らい心はおだやかになった、今はもはや何の欲があろうか。
 諸君は知っているかい、かの漢の勇気ある男子樊噲(はんかい)が、剣を抜いて肉を切り食らい、「何ぞ辞せんや」といって一杯の酒を進んで飲んだあの故事を。


 


 (参考:王朝漢詩選 岩波文庫)

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