奉和觀落葉 滋野貞主 (一部加筆)
嵯峨天皇の御製「落葉を見る」に唱和し奉っての作品。
滋野貞主(しげのさだぬし)、延暦4年ー仁寿2年(785-852)『経国集』の撰者。
御製は残っていません。
奉和觀落葉 滋野貞主
寒聲落葉簾前雨 寒声(かんせい)の落葉(らくえふ)簾前(れんぜん)の雨、
點着閑筵不濕衣 閑筵(かんえん)に點着するに 衣を濕(ぬ)らさず。
聞道璇璣秋月暮 聞道(きくなら)く、璇璣(せんき)秋月(しうげつ)の暮、
聖年宮樹待黃飛 聖年の宮樹(きゅうじゅ) 待て黄飛(くわうひ)すと。
璇璣=美玉で飾った天文を計る機械、渾天儀(こんてんぎ)。ここは北斗七星の第一星より第四星までをいい、星の経過をさす。
イエズス会の東西渾天儀
渾天儀のある道教の寺
シャリオールの渾天儀をモチーフにした時計
全然関係ないと思いますが、気功で璇璣といったらここだそうです。☟
閑筵=静かな座席
點着=点々とつく落葉
聞道=六朝以来詩に多くみえる句法。「道」は接尾の助字とも「道(い)う」(言う)の意ともいう。
秋月=秋という月、季節。
待黄飛=「待つ」は散るべき秋を待つこと。
寒々とした音を立てて木の葉が散る、すだれの前に降る雨のように。静かな坐席(むしろ)の上に点々とつく落葉。、雨のように衣が濡れることもない。
聞くところによると星は廻って今や秋の暮れ、治まる聖代(みよ)の宮廷の木々の葉は秋という時を待って黄色に色づきつつ飛び散っているとか。
加筆*伊賀山人さんのご指摘で無事「點」が変換できました。
(参考:岩波書店)