カロッサの詩
ハンス・カロッサは1878年ドイツ、バイエルンに生まれました。
『カロッサ詩集』は池袋ジュンク堂で立ち読みして買いました。
訳は片山敏彦です。片山は1898年生まれでロマン・ロランやゲーテの訳で有名です。自身も詩人で詩集を出版していますが、アマゾンとかで見ると古すぎたりプレミアが付いていたりで気軽に入手できるものではありません。
カロッサの詩集の断片を紹介します。詩集の後半には「森の空地に照る星」という詩編や散文詩的な「老いたる魔術師」も載っています。
ここでは『詩集』の詩編を掲げます。
この上もなく荒寥とした・・・
この上もなく荒寥とした奥底にいるときでも
君はひとりぼっちではない。
その灰色を見つめたまえ。
まもなく一つの眼なざしが 君の眼なざしに点火されて燃えるだろう。
われらはまことに、永遠な響きの反響(こだま)。
虚無と呼ばれるものは、万物の根元。
しかしそのことを我らは敢然と忘却しよう。
事実現存しているものの範囲を測ろう!
この存在の中で結ばれないものは、どこにおいても結ばれない。
愛の力が 地上の時間と行いと幸福との中へ緊張をもって進み入るその度合いだけ
愛は、永遠の生成の中で深く産み作るだろう。
一人の人が何であるか、何であったかは袂別のときに初めて判る。
神の歌がかすかに鳴っているときにわれらはそれを耳に聞かずその歌が黙るとき、初めてわれらはおののく。
おお 世界よ、おんみの昔ながらの秘密を人間の眼に示すな!
おんみを余りに早く垣間見た人間を、おんみは殺すだろう。
しかしときどきはおんみと人間との盟約を想い起こせ!
われら人間の一人に心を与えよ!無限の意義に比肩する心を与えよ。
目次は最後尾にあるので立ち読みするときは注意してください。目次のタイトルを見ただけで軽いめまいが起きるぐらい魅力的な詩集だと思います。
みすゞ書房の本は値段が高いしすぐ絶版になってしまうので買う機を失いがちです。
それでも80年代『カヴァフィス全詩集』『「括弧」リッツォス詩集』『「結ぼれ」D・レイン』を買い求めました。
確か『分裂症の少女の日記』(うろ覚え)もみすゞ書房だと思いますが、買ったことがあります。ただこれは古書店に売りました。
『カロッサ詩集』は¥1700+税なので比較的入手しやすい価格だなと思います。
ただし新品の在庫があればの話ですがw