自転車通学
K中学に通っていたころです。昭和42年以降だと思います。台町から歩いて通うのがかったるくて自転車で途中まで行きました。遅刻しそうな朝に自転車に乗ったのがきっかけです。
途中というのは小学校からのクラスメイト、一ツ木のYクンちでした。一ツ木通りに金物店がありました。その店先に自転車を無断で置いて赤坂見附駅前の陸橋を渡って東急ホテルを横目に坂を上っていきました。
今考えれば陸橋の麓に自転車を置けば良かったのに、その時代駅前とか路上に置くのはやはり不安だったのか、知り合いの家の前に停めて安心しきって置いていました。
ある日学校から帰ってくると自転車がありません。店の奥のYクンの家に入っていったところ、Yクンとお母さんと妹さんがぼくの自転車を店舗と住宅のすき間に隠すところに偶然遭遇したのです。
ぼくは自分がマナー違反なことをしてしまったんだ、と心の中でお詫びしました。
お母さんたちもぼくの図々しさに閉口して困らせてやろうとしたのが少し度が過ぎて極まり悪そうにしていましたが、そもそもこちらがマナー違反でしたので、そのこと以来もちろん自転車を置くことはやめました。
どうやって中学に通ったか覚えていません。放課後帰宅するコースが弁慶橋経由になっていましたので、たぶん徒歩で通ったと思います。
現代でこそ駅前に自転車を駐輪するのはよく見かける光景ですが、当時は駅前に自転車を置く感覚はあまり無かったですし、思いつきませんでした。