昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

昨夜夢に家に還り    寒山

 寒山については分かっていることが少ないです。注釈書は日本人のものばかりです。


 昨夜夢還家     昨夜夢に家に還り
 見婦機中織     婦の機中に織るを見る
 駐梭若有思     梭(ひ)を駐(とど)めて思い有るが若(ごと)く
 擎梭似無力     梭を擎(ささ)げて力無きに似たり
 呼之廻面視     之(これ)を呼べば面(おもて)を廻らして視(み)
 怳復不相識     怳(きょう)として復(ま)た相い識らず
 応是別多年     応(まさ)に是れ別るること多年
 鬢毛非旧色     鬢毛(びんもう)旧色に非ざるべし


 梭=杼。織機付属の一。製織の時、緯(よこ)糸を通す操作に用いる。

 梭


 擎(ささげる)=捧ぐ。挙げる。
 怳=くるう。気抜けしてぼんやりするさま。
 

 現代語訳
 昨夜は故郷に還った夢を見た。そこには妻が機を織っているのが見えたが、ある時には梭をとる手を休めて何か考えているようだった。梭を挙げるにも何だか元気がなかった。「おい」と妻を呼んだところが、おもむろに面を向けて私の顔をながめるのだが、私が誰であるか分からないようであった。分からないのも無理もないことで、妻と別れて何年も経ってしまっているし、それに私の髪の毛も白くなって昔の面影をとどめていないから。




 余談ですが、この詩を読んで榎本健一の「エノケンの『天国と地獄』」という白黒映画を思い出しました。昭和30年代だったと思います。エノケンが死んで閻魔大王に特別に許可を得て数日間自宅を見に行きます。妻子がどうしているか気になったのでしょう。映画のラストシーンは閻魔大王の部下に両脇を抱えられて道を歩いていき、消えていくのです。子どもだったけれど何だかすごく印象に残りました。



 (参考:講談社)

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