九月九日玄武山に登る 盧照鄰 邵大震
盧照鄰は初唐の四傑の一人、王勃と玄武山に登り、このとき旅に出る邵大震と共に競作の形で残っています。手法は王勃と似ています。
九月九日登玄武山 九月九日玄武山に登る
九月九日眺山川 九月九日 山川を眺む
帰心帰望積風煙 帰心帰望 風煙積む
他郷共酌金花酒 他郷共に酌む 金花の酒
万里同悲鴻雁天 万里同じく悲しむ 鴻雁の天
この詩も重陽の節句を詠ったもので、王勃と同席して競作したものと考えられます。競作の場合記録されやすく後代にまで残ることが多いです。
やはり同席していた邵大震も似たような詩を詠んでいます。
九日登玄武山旅望 九日玄武山に登りて旅望す
九月九日望遙空 九月九日 遙空を望む
秋水秋天生夕風 秋水秋天 夕風(せきふう)を生ず
寒雁一向南去遠 寒雁一たび南に向かって去ること遠じ
遊人幾度菊花叢 遊人幾たびか度(わた)る 菊花の叢
重陽の節句=陽の九が重なっているので重陽といいます。奇数は陽です。
言い伝えによりますと、ある占いの名人が「九月九日には茱萸(しゅゆ)を持って山に登りなさい」と言うので言われるまま出かけて帰ったところ、家畜が全部死んでいたといいます。それから奇数が重なる重陽の節句には邪気払いをしようというならわしになった、とのこと。この伝説自体には疑いを持つ学者もいます。
今は五月五日も端午の節句ですがちまき食べたりしょうぶ湯につかる、三月三日もひなまつり、ですが元をたどれば重陽の節句です。三月三日は春になって海辺へ出て身体を清める節句だったそうです。