焦土化した街、渋谷
自転車で宮益坂を下りていくころから何か変だと思った。下りていったら愕然とした。
昼間だというのに真っ暗だ。すごく焦げ臭い。5メートル先が見えない。噴煙が舞っている。
目を凝らしてみると角のビックカメラが無い。ガード下の店も全部閉まっている。
車が一台も走ってないし、歩く人も二、三人だ。北のやつホントにやっちまったのか。
そういえばワイドショーで、渋谷は人が来なくなって久しいので大規模に街を改造するって言ってたな。都の大改造で渋谷をいったん焼失して全部建て替えるつもりか。
とにかく何か食うとこ探そう。
ガード下をくぐろうとしたら歩道から落ちてしまった。車道の右側走行してしまった。車が一台も走ってないからいいようなものの。
スクランブル交差点で西武の方へ曲がってちょっと自転車を置いた。西武側に歩いて渡ろうとしたら、1メートルぐらいの幅の川が流れていてはまりそうになった。
井の頭通りをちょっと覗いてみた。やっぱ死の街だ。自転車に戻った。工事現場の人が手を貸してくれた。
裏路地を行ってみよう・・・。道がどんどん嶮しくなる。
何だ、瓦礫の山の中、工事をやっているじゃないか。この先に道はあるんだろうか。
あれ、道が切れてる。落ちるよ、落ちるーーー。
うわーッ!死ぬ!
死なない。
痛ててててーーーッ。ぼくは工事現場の陥没した底に落ちてしまった。
助けてくれーーー!工事現場の人ーーー!
工事の人は自転車を片手で持ち上げて上に投げた。ぼくも助けてくれた。ひゃー助かった。
さてと、他をあたってみよう。
幹線道路ぞいに立ち食いそば屋があった。
ああ、やっと飯にありつけた。
とりあえずたぬきそばでいいや。食べられるかな。ズルズル・・・
麺を飲みこめるか。あ、いけねえ。ここ受け取り場だった。
プライムニュースの司会反町理みたいな恰幅のリーマンがぼくのたぬきそばをテーブル席まで運んでくれた。
そうだ、足のリハビリはまだ完全じゃなかったっけ。
のどはどうか。そばをひと摘みすくって口の中に運んだ。飲みこむぞ!
ズルズル・・・・飲みこめない。やっぱ飲みこめないや。
ぐるしいーー。息ができない・・・。
(連日、悪夢つづきです。)