昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

手みやげの飴

 青山のS工務店の奥さんは時々表町のうちに来ました。うちうちではS大工と呼んでいたのですが、その奥さんが必ず手みやげに七色の模様に染められた飴を持ってくるのです。どこの店で売っていたのか判りません。おそらく青山のどこかに店があったのでしょう。S工務店は青山南町にありました。
 その飴は透明なガラス瓶に入っていました。フタは金物です。飴の模様はキレイです。白地の飴に赤、青、黄、緑、茶と鮮やかに帯状の模様が付いていました。ですが、毎回同じものを手みやげに持ってくるのです。初めのうちは物珍しさと甘いものに飢えていましたから、有難味がありましたが、毎回々々ではまたかと思うようになりました。
 S工務店には表町、台町、世田谷と何軒も家を建ててもらいました。あちらとしてはうちはお得意さんです。初めは有難味があったかもしれませんが、何軒も家を建てているうちに「新築なさるのはいいかげんにしたほうが」「これで落ち着きなさい」と酒宴で冗談交じりに言うようになりました。
 うちの祖母も母も新築するのは大好きで住み始めると数年で飽きてしまう性格でした。一種の病気みたいなものです。世田谷で新築する際は恥ずかしいので地元の工務店に依頼しました。
 ところが、数年後ある中古の家を買うことになり、売り主に会ってみたら、そこの奥さんがS工務店の旦那さんの実妹でした。

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