昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

比目魚(ヒラメ、カレイ)  柏木如亭

 『詩本草』(グルメ紀行)柏木如亭から、比目魚のことについての記述を抜粋します。



 比目(ひもく)は鰈魚(てふぎょ)なり。春夏極めて盛んなり。大なるは͡͡͡胯拉蔑(ヒラメ)と喚(よ)び做(な)し、小なるは葛列乙(カレイ)と喚(よ)び做(な)す。
 蓋(けだ)し一種同類にして、小なる者味尤(もっと)も美なり。李時珍(りじちん)謂はく、魚各一目、両片相合すれば乃(すなは)ち行くことを得ると。
 余、越に在るとき、一巨桶(きょとう)を以て海水を貯へ、漁舟の獲る所に就いて̪施(しき)りに買ひ施(しき)りに放って、撥剌(はつらつ)の状を諦視(ていし)す。中に鰈魚有り。両目相比し、独行、鼈(べつ)の如し。両片相合するの説、一笑を発す可し。一画師傍らに在りて一一これを図す。余も亦た詩数首を作る。今その藁を失す。



 比目=比目魚の略。「東方に比目魚有り。比せざれば行かず。その名これを鰈魚と謂ふ」(爾雅・釈地)。『本草綱目』にも『爾雅』のこの説明を引く。草稿「比目魚」とあり、傍注に「ヒラメ、カレイトモ」。
 春夏極盛=『本朝食鑑』巻八・鰈に「春末夏初最も多くこれを采(と)る」(原漢文)
 畿内西国ともに、かれいと称す。江戸にては大なる物を、ひらめ。小なるものを、かれいと呼。然とも類同くして種異也。常陸上総下総の浦々にて大なるを鰈(かれい)といひ、小なるを平目(ひらめ)といふ」とあるので、この呼び分けは地方によって入れ替わることもあったらしい。
 施=草稿傍注に「ヤゝ」とあるが、『文語解』の訓「̪シキリニ」に従う。
 撥剌=魚が水を撥ね上げる音、また魚が勢いよく跳ねるさま。草稿傍注「ハツラツ、魚ノハネルコト」。
 諦視=じっと見守る。
 相比=並ぶ。
 独行=一匹で泳ぐこと。
 鼈=すっぽん。
 一一=一つ一つ
 一画師=勾田臺嶺のこと。

 勾田臺嶺の画
 


 現代の少なくとも東京圏ではヒラメとカレイの区別は明らかに出来ます。ありていに言えばヒラメのほうがクセがなくておいしいという認識があります。
 ただグルメの方からすればいやいやカレイのほうが美味いよと言う人もいるかもしれません。



       (参考:岩波書店)






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