鎌倉小町通り 絵入り
数年前クラシックカメラ(スーパーセミイコンタ6×45)を提げて江ノ電めぐりをしました。一通りめぐった後、鎌倉の小町通りを行きました。
路地に入って住宅街を少し行き、鏑木清方(かぶらぎきよかた)記念美術館に入館しました。ここは清方の旧居跡です。
都心の書店で返してもらうレシートに混じって当館の入場割引券があったので、それを使いました。以前から清方の絵には興味がありました。
鏑木清方
清方と彼に関連する絵の展示を見て回りました。中に売り物の図録がたくさん並んでいたので腰かけてじっくり見ました。一冊250ページ以上のずっしりと重い図録です。
清方
その中で『鏑木清方と七絃会』が面白かったです。特に珍しかったのは、後半のページにあった大正から昭和にかけて東京日日新聞に連載された小説の挿絵集でした。それらがとても秀逸でした。
菊池幽芳の小説
「高野聖」鏡花
菊池幽芳、泉鏡花、三上於莵吉の小説に清方や伊東深水、寺島紫明らの挿絵が載せられていて、なかなか趣きがありました。通俗小説の毒々しい部分が想像できる毒々しい挿絵です。
三上於莵吉の小説
伊東深水
寺島紫明
何だか活動写真の場面々々を切り取ったみたいな臨場感があります。ありがたいことに小説のあらすじは巻末にまとめて載っています。
この図録のメインは鏑木清方、安田靫彦、小林古径、前田青屯(おおざとが付きます)、菊池契月、土田麦僊、平福百穂、速水御舟、西村五雲らです。
前田青屯(おおざとが付く)
土田麦僊
西村五雲
平福百穂
速水御舟
これで(ここに挙げた絵とは異なります)2000円(税抜き)なのですから安いと思いました。ただ、歩き回って足が棒だったのでずっしり重い本は持って帰れず、宅配便で送ってもらいました。
清方は随筆も巧みで、『鏑木清方文集』全八巻(白凰社)は以前持っていましたが、古本の古びた感じに神経質になっていたので通読するのは難しかったです。(引っ越しの際古書店に売りました)こういう貴重な文集は選書とか新書でも文庫でも再刊されたらいいのにと思います。
既刊の随筆選集の文庫本は数冊持っていますし、愛読しました。
清方は大正の終わりから戦前牛込の矢来町(神楽坂に近いです)に住んでいました。戦災で自宅が焼けて戦後鎌倉に居を構えたそうです。