昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

ピエール・ルイス ①

 昭和59年ごろ、書店でピエール・ルイスの『女と人形』(生田耕作訳)を見つけました。サバト(奢覇都)館刊行の箱入りの本でした。箱の模様のデザインがきれいで、本の紙質や綴じ方がフランス風で優雅でした。


 こんなきれいな本は買ったことがありませんでしたので、書店に何回か通って買いました。当時としてはマンディアルグ短編集やユイスマンスの本に並んで思いきった買物でした。
 人形が好きな女の物語ぐらいに想像して読み始めたのですが、全然違いました。「人形」というのは中年男のことで、過去の翻訳では「操り人形」とするものもあります。


 数年後ルイスの『ビリチスの唄』もやはり箱入りでサバト館から生田氏の訳で刊行されました。この詩集はルイスの創作ですが、あるギリシア文学者は古代ギリシア人の詩の翻訳と勘違いし、ルイスに予てより愛読していた旨の手紙を送ったエピソードがあります。そこはルイスもほくそ笑んだだろうと想像できます。


 では、ピエール・ルイス作品の刊行事情を掲げておきます。


 ビリチスの歌 鈴木信太郎訳 昭和29年4月25日白水社(文庫昭和31年、37年、52年)
 ビリチス   伊東杏里訳  昭和52年9月10日写真デビッド・ハミルトン、イラスト宇野亜喜良
 ビリチスの愛の歌 栗田勇訳 昭和42年12月1日
 ビリチスの官能の歌悦楽の島キプル 栗田勇訳 昭和43年
 女とあやつり人形 江口清訳 昭和34年 清和書房 挿絵入り
 私の体に悪魔がいる 江口清訳 昭和46年 雪華社
 私の体に悪魔がいる 千葉順訳 昭和34年9月10日 三笠書房 表紙ブリジッド・バルドー
 私の体に悪魔がいる 飯島正訳 昭和34年 角川
 女と人形 飯島正訳 昭和31年 角川
 女と人形      昭和27年 創元社
 アフロディット古代の風俗 小松清訳 昭和27年 白水社
 アフロディット 前田静秋、西幹之訳 昭和27年 紫書房
 妖婦クリシス ピエエル・ルウイ 荻原厚生訳 大正13年(二十版)春陽堂
 不朽の戀(アフロディット、ビブリス、レエダ、女と木偶) ピエエル・ルイイ 大正3年
 アフロディット1クリュシス2女神の国3到着4デメトリオスの夢5最後の夜 小松清訳 昭和27年
 エスコリエ夫人の異常な冒険(緋衣の男、夕日の中の対話、新しい逸楽、等10篇) 小松清訳 昭和26年 白水社
 西班牙狂想曲(女と人形) 飯島正訳 昭和10年10月8日 西東書林 表紙ディートリヒ
 ビリティスの歌 川路柳虹訳 大正15年
 ポゾール王の冒険 中村真一郎訳 昭和31年 藤田嗣治挿絵28葉入り


この本は神保町の山田書店の二階で見つけて買いました。読んだのは昭和62年ごろです。

 ☜ポゾール王の冒険の挿絵。藤田嗣治の貴重な挿絵です。


 ビリティスの歌 バルビエ絵
 ビリティスの唄 附:愛撫の国 川路柳虹訳 大正15年11月10日 国際文献刊行会
 アフロディット 太田三郎訳 昭和3年7月15日 国際文献刊行会
 アフロディテ(古代風俗) 沓掛良彦訳 平凡社ライブラリー
 妖精たちの黄昏(レダ、アリアドネ、ナイルの宿、ビブリス、ダナエ) 宮本文好訳 昭和57年 彌生書房


 ビリティスの詩はドビュッシー作曲の室内楽や歌曲もあります。CDが何枚も出ています。

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