昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

フランス幻想文学

 昭和59年、渋谷の紀伊国屋書店でユイスマンスの『さかしま』を見かけてタイトルが気になってしょうがないまま、何週間か本屋に通って結局買いました。それだけに大事に何日間かかけて読み耽りました。
 細かい学識や教養を要するところは判らなかったですが、透徹する精神というかテーマというか雰囲気は大いに共感するところがありました。サドやバタイユのように過激ではないけれど、様相は実は異常です。当時はけっこう影響を受けたように思います。
 ユイスマンスの『彼方』はさらにエスカレートしていてちょっとついていけず途中で投げ出しました。


 でもフランス幻想文学に興味を持ったので白水社から出ていた何冊かの集成本を読みました。その中にはマンディアルグやピエール・ルイスもあったように思います。マンディアルグは白水社の箱入りの本を三巻読みました。
 国書刊行会のシリーズにはレオン・ブロワの『絶望者』も含まれていました。これを意識したのは次のエピソードが元です。新宿の紀伊国屋書店で漫然と本を眺めていた際、熟年の女性がさっと手に取ってレジに持っていったのです。
 『絶望者』なるタイトルの本を何の躊躇もなく買う女性がいることに軽いショックを受けました。いったい何が書いてあるんだろう?と気になって仕方がなかったです。
 ですが、経済的な理由で何年も買えずに過ごしました。やっと読めたのですが何が何だかわけわからんという状況でした。カトリックのこともよく判りませんでした。
 ただブロワの『貧しき女』は面白く読んだ記憶はあります。内容は忘れましたが、やはりキリスト教に関係するストーリーだったと思います。うちの本棚にあるはずですが、読み直そうと探してみましたが現状行方不明です。

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