オートバイ
昭和39年か40年ごろは赤坂一ツ木通りの古本屋に通いつめて探偵小説を買っては読んでいました。このことは以前も書きました。
甲賀三郎の『姿なき怪盗』とか『黒い天使』に夢中になりました。挿絵もあってイメージしやすいのは、謎の山羊髭老人と獅子内探偵が颯爽とオートバイに乗るシーンです。
獅子内探偵の影響で大人になったら背広にネクタイでオートバイに乗るもんなんだと思っていました。
カミナリ族とかの存在は知らなかったですね。とはいえ近所の高校生がジーパン姿でオートバイに乗る練習をしていて何て不良なんだと勝手に嫌っていました。
母方の祖父は関東一円を仕事で移動する時はトライアンフに乗っていたそうです。イギリスのオートバイ、トライアンフです。
明治27年生まれで江戸川乱歩と同じ歳ですが、記念写真を撮る時は山高帽をかぶって汚れていない破けていない、そでも丈も寸法の合っているチャップリンみたいな恰好です。写真で見たことがあります。もっと恰幅はいいですけど。
オートバイに乗る時は黒の皮ジャンだったらしいですけど。祖父が夜田舎道を走っていると同じ道をグルグル走ってしまうことがたびたびあったそうです。
キツネか狸に化かされたんだろうと言ってました。それに白装束の女人とすれ違うこともあったそうですw女狐ですかね。
「おっかなくてふり返られなかった」と言う祖父。おそらく商談先でお酒をすすめられて断れずほろ酔いだったのでしょう。戦前戦後の話なのであしからず。