江戸っ子のお嬢さん
中年に差し掛かったころ、深夜の番組で昭和を懐かしむCDのCMでN小学校が映ったことがあります。古い白黒の映像の中で、鉄棒で遊んでいたのは見覚えのある女子のKさんでした。Kさんは同級でした。大人びた顔立ちでぼくより3つぐらいお姉さんのような雰囲気がありました。
50を過ぎたころ、同窓会の貴重なビデオを借りたい旨電話をした際、鉄棒を盛んにやっていたか訊いてみました。鉄棒はよくやっていたとの返事が返ってきたので、CMに写っていたと告げました。Kさんは撮影されたことを覚えていませんでした。映像は体操着姿でしたので体育の時間だったのかもしれません。わざわざ撮影用に撮ったのならば彼女は覚えているはずです。
ぼくがそのCMを見てすぐに判ったわけは、昔のお顔なら遠足の集合写真で見覚えがあったからです。けれども小学生時代は直接話したことはなかったです。
Kさんは日本橋に実家がありチャキチャキの江戸っ子でした。彼女は有名音大付属中学に入り、その音大の声楽科に進んだことを電話の話で知りました。ソプラノのシュワルツコップが好きだということでしたので、ビデオを返却する時にお礼にシュワルツコップの映像を編集して同封しました。彼女はとても喜んだ様子で電話をくれました。