昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

「あのー」 「えーと」   活用術考察

 言葉(場)つなぎの「あのー」「えーと」は否定的に捉えられることが多いようです。ネットで検索しても否定的な意見が多く、手がかりになる記事にたどり着けませんでした。


 プレゼンなどで多用したら良くないのはわかります。


 ですが、雑談で「あのー」「えーと」は頻出単語と言っていいでしょう。多少のニュアンスのちがいはあってもいちいち気にしません。


 ここでは逆転の発想で活用術の手がかりを考えてみます。


 「あのー」は言葉を選んでいると思います。分かっていることでもこの瞬間話していいか判断しています。頭の中に言葉や事柄がずらっと並んでいる感じがします。企業(営業)秘密に抵触しないかなど判断する瞬間です。
 ちょっと訊きづらいことを訊くときとかも使います。


 「えーと」は言葉を探していると思います。うろ覚えで思い出そうとしているか、これから話すことが確かかどうか瞬間判断しています。
 確認事項を一応確認もしくは再確認しておく場合など使われると思います。


 以上は基本的なニュアンス。
 が、例外もあります。


 例えば、「あのー、今度食事に行きませんか」はちょっと堅苦しい印象を受けます。
 それに対して「えーと、今度食事に行きませんか」はだいぶくだけた感じになります。


 「あのー」はぶしつけで唐突感がありますし、緊張している印象もあります。
 「えーと」は照れている印象を受けます。照れるというのは実は余裕がある、遊び慣れている印象にもつながります。それとぶしつけ感を和ませるニュアンス。モテる男子はこの「えーと」をうまく活用できていると思います。


 「あのー、プレゼント持ってきました」ではちょっと不安になりますが、「えーと、プレゼント持ってきました」なら何何?という気持ちになると思います。


 ただ例外の例外もあるわけで、詐欺師が逆手にとって「あのー」と「えーと」を入れ替えて使う事例もあるのではないでしょうか。自分を真面目、純朴に見せるためにわざと「あのー」を使ってみたり。



 また「あのー、私見たんです」はミステリーで誰かを犯人に仕立てようとする意志が少しだけ感じられます。視聴者が、この目撃者は真犯人をかばっているのではないか、と思わせる台本です。
 ですが、中には「えーと、私見たんです」と言わせて自然感を漂わせます。ミステリーに慣れた人はこの自然感こそ怪しいと踏むわけです。


 刑事にアリバイを訊かれて「あのー」はあまり使われません。「えーと」あの日あの時間は何をしていた、と不確かな返答にとどまるでしょう。


 万一「あのー、あんまり覚えていません」と返事した場合「あのー」と「覚えていない」が矛盾しますが、視聴者はまずこの人はやっていないなと判断します。
 なぜならこの人は自分は犯罪に関わっていないという確信がある、と思うからです。逆の効用を使うことで、脚本家が暗にこの人は真犯人ではないと伝えようとしています。


 真犯人なら「えーと、あんまり覚えていません」と答えるでしょうが、それでは視聴者にとって丸わかりなので、脚本家は「あのー、あんまり覚えていません」と、裏をかく可能性があります。そうなると視聴者と脚本家の化かし合いになります。


 でも「あのー、私がやりました」はいかにもわざとらしい印象で、誰かをかばっているようにも見受けられます。
 だからと言って「えーと、私がやりました」ではあまりに軽く、にわかには信じがたい。


 今、気が付いたんですが、単語だけ取り上げると

 「あのー」は真面目、「えーと」は若い、ちょっと軽い、という印象。「あのー」はちょっとだけ上から目線のニュアンス、「えーと」は気軽、関心がないニュアンスがあると思います。


 教師が学会で発表するとき「あのー」であっても、生徒、この場合小学生など子ども相手に授業を行うときは、生徒目線まで下がって「えーと」を使うことになります。


 医師が「あのー、ガンですね」と言ったら宣告らしい感じがしますが「えーと、ガンですね」は慣れすぎの医師か、しつこく問われて仕方なく宣告する感じ。それと初期のガンで内視鏡か手術で治る確率が高いニュアンスが伝わってきます。


 となると、   ↓   ↓   ↓   ↓




 その場の雰囲気とか事柄の種類によって意味合いが変わる、ことになります。



 書いているうちにわかんなくなりました(笑)



 参考までに:

 湯浅譲二という現代音楽家のアルバム「ヴォイセスカミング」は面白いです。電話交換手や政治家の演説、文化人知識人のインタビューの話し声を録音し、テープをつなぎ合わせて「あのー」「えーと」など(フィラー言語?)だけをつなげて無意味な音声センテンスを作り上げています。
 インタビューは敢えて難しい質問をして即答できない、すなわち考えながら答える仕組みを作ったと思います。

 LP時代に聴いたのでCD化されているか分かりませんが、図書館などで調べてみるのをおススメします。
 (万が一YouTubeに上がっていたらラッキーですが)

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