サヨナラだけが人生だ
映画監督川島雄三の墓碑銘に刻まれた言葉、「サヨナラだけが人生だ」は井伏鱒二の『厄除け詩集』に収められています。
原典は于武陵(うぶりょう)の「勧酒」という詩です。五言絶句の後半二句は、
花發多風雨 花発(ひら)けば 風雨多し
人生足別離 人生別離足る
これを井伏鱒二が訳して、
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
サヨナラダケガジンセイダ
となり、これを川島監督が好んでいました。
このくだりを映画「貸間あり」で桂小金治のセリフに織り込みました。
川島雄三監督は「幕末太陽傳」で有名です。
ですが、監督自身はこの映画より「赤信号・洲崎パラダイス」のほうが好きだと語っています。
「赤信号・洲崎パラダイス」
ちなみに日本の頓阿法師の歌に「世の中はかくこそありけれ山風吹きて春雨ぞ降る」があり、「勧酒」に基づいたものと言われています。
(参考:講談社学術文庫)