昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

武蔵野  亀田鵬斎

 亀田鵬斎は宝暦二年(1752)に江戸に生まれました。マリー・アントワネットより3歳上です。民間の儒者としては最も耳に親しい名前です。官僚にはならず、下町暮らしで酒好きだったそうです。
 武蔵野という漢詩を挙げます。


     武蔵野


 荒原古道細如縄     荒原の古道 細きこと縄の如し
 雲淡天低草気蒸     雲淡く 天低(た)れて 草気蒸す
 乗瀦古駅今何有     乗瀦の古駅 今何(いず)れにか有る
 遥看孤輪輾草升     遥かに看る 孤輪 草に輾(まろ)びて升(のぼ)るを



 「乗瀦」というのは現在の杉並区天沼あたり、とするのが有力です。JR「荻窪」駅周辺です。
 練馬あたりとする説(乗をアマと読むよりネリと読むほうが自然であると主張)や、
 杉並区成田とする説もありますが、


 続日本紀の研究者などが天沼説を唱えているようです。まぁ成田も荻窪や阿佐ヶ谷の近辺ですけど。
 「瀦」は水たまりの意味です。


 天沼と聞いて思い出すのは、先日亡くなった野際陽子さんは3歳のころから住んだそうです。そこから杉並第五小学校、立教女学院中学と進んだようです。野際さんはフランス留学もしたわけですが、
 ぼくがフランス旅行のツアーの時一緒だった女性に一目惚れしたブスカワの子がいたんですが、その人も天沼育ちで杉並第五小に通ったそうです。
 余談でした。


 ですから乗瀦と書いて「あまぬま」と読むのか否か、ちょっと置いといて、古駅というのは宿場の意味ですから馬をつないでおいたとも考えられます。
 
 詩の意味を見ますと、
 天沼村(乗瀦)あたりの蒼茫たる荒原で、地平の彼方の草の茂った間から月が昇る光景を歌って、平安朝以来の同様なさまざまの古歌を思わせる七言絶句です。


 瀦は「ちょ」で変換できます。輾は「まろびて」では変換できない感じで「きしる」で変換できました。「てん」ではなかなか出てきません。弧輪は月のことです。



          (参考:平凡社)

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