菜花 長ネギ 柚子味噌 館 柳湾
館 柳湾は名は機、字は枢卿で、宝暦十二年(1762)新潟に生まれました。一生を幕府郡代の属史として過ごしました。
柳湾は謹直な官吏であったばかりでなくきわめて口数の少ない寡言の士でもあったらしいです。
詩集は三冊あって『柳湾漁唱』『柳湾漁唱ニ集』『柳湾漁唱三集』です。
晩年、江戸の目白台に隠栖して悠々自適の境涯を送ったころの詩を挙げます。
菘畝葱畦新有霜 菘畝(しゅうほ) 葱畦(そうけい) 新たに霜あり
樹頭柚子弄金黄 樹頭の柚子(ゆうし) 金黄を弄す
村厨誰道乏時味 村厨 誰か道(い)う 時味(じみ)に乏しと
老婦朝供香豉湯 老婦 朝(あした)に供す 香豉湯(こうしとう)
菘畝=菜畠
葱畦=葱(長ネギ)を植えた畦
柚子
香豉湯≒柚子味噌汁
(参考:平凡社)