昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

六如上人の詩

 六如(りくにょ)は享保十九年(1734)に近江八幡に生まれた天台宗の学僧です。名は慈周、字は六如、苗字は苗村です。


 「霜暁」という七絶を紹介します。


 
 暁枕覚時霜半晞     暁枕(ぎょうちん)覚むる時 霜 半ば晞(かわ)く
 滿窓晴日已熹微     満窓の晴日(せいじつ) 已に熹微(きび)たり
 臥看紙背寒蠅集     臥して看る 紙背(しはい)に寒蠅(かんよう)の集るを
 双脚挼挲落復飛     双脚挼挲(ださ)して 落ちて復た飛ぶ



(意味)
 冬の晴れた朝、窓の障子にうっすらと日の光りがさす頃、そこに集った蠅の群が力なく飛びまわっているのを、寝床のなかから無心に眺めている。「双脚挼挲して、落ちてまた飛ぶ」という。これは冬の力ない蠅が両脚をこすったり、もんだりしながらときどきぽとりと床に落ちては飛ぶ有様を写生した句。




 1734年というとハイドン(1732年)より2歳下です。
 六如の写実主義は頼春水(山陽の父)、菅茶山らに大きな影響を与えました。茶山は若いころから六如に私淑(ししゅく)していましたが、実際に会ったのは寛政六年、茶山47歳の時でした。それまで文通はしていました。



                                                         (参考:富士川英郎)

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