昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

源氏物語

 祖母は二十歳のころ、『源氏物語』を読んだそうです。父が生まれた大正11年ごろとすれば、淀橋町大字角筈(昭和7年以降は淀橋區角筈二丁目)か余丁町、百人町もしくは四谷區の若葉町か左門町に住んでいたころです。
 そのころの『源氏物語』と言えば与謝野晶子訳です。一度めの大正3年までに刊行されたものでしょう。ダイジェスト版のようです。二度めの宇治十帖は大正12年の関東大震災で焼失したとされています。三度めは昭和13年ごろ上野精養軒で出版記念祝賀を行ったということです。
 祖母は生命保険会社や信用金庫に後々勤めた人でしたが、読書好きで活字中毒でした。栃木の女学校時代に焼いもを誰かが買ってくると包んであった新聞紙を広げて読むほどでした。
 「『源氏物語』は男と女のことばかり」と祖母は少々不満があったようです。事実、祖母は司馬遼太郎や松本清張など歴史時代小説や社会派推理小説などを好んで読みました。驚いたことに晩年は夢野久作まで読みました。
 『源氏物語』は古文の原文で読めば格調高いですが、現代語訳だと少女マンガのような文脈のところがあります。いい意味で少女マンガの源流なのかもしれないですね。

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