赤坂「からす亭」を真似て
4歳ぐらいの時です。表町のうちに親戚の人が遊びに来ました。その時に銀紙に包んだ料理を出しました。ぼくは思わず「こんなの初めて!」と言いました。
二階に住んでいた地下鉄総裁の二号さんのYさんが赤坂「からす亭」から出前をよく頼んでいて、うちにも分けるつもりで多めに注文していたと思うのですが、銀紙に包まれたハイカラな料理をおすそ分けしてもらっていたのです。だから銀紙に包まれた料理は高級なんだと憧れていたのです。
それが銀紙に包まれた料理が出てきたわけですから、感激して「こんなの初めて」と言ったのです。料理は母が体裁を繕ったのか多少見栄を張ったのでしょう、手作りの料理をわざわざ銀紙で包んだのです。
母は恥をかかされた気分だったのでしょう。親戚が帰った後、ぼくを風呂場に連れていってお尻を何度も叩きました。幼いぼくには叩かれる意味が分かりませんでした。