色っぽい江戸の女流漢詩
色っぽい漢詩を紹介します。先に現代語訳から、
酔美人が夜明けに、悄然と寝室を脱け出て庭に立つ。高い梢のうえの月が、寝乱れた化粧の顔を照らす。花に置く露をすすって、酔を醒まそうとすると、一面の薔薇の匂いに、更に酔ってしまう。
蓮歩悄トシテ移シテ、暁房ヲ離ル。高悄ノ落月、慵粧ヲ照ラス。花辺ニ露ヲノミテ、残酔ヲ醒サントス。更ニ酔フ、薔薇、満架ノ香。
(中村真一郎注釈)
暁苑 皆川練卿
蓮歩悄移離暁房
高悄落月照慵粧
花邊嚥露醒殘醉
更醉薔薇満架香
悄然=悄々、憂ふる貌
慵粧=化粧のくずれ