昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

「赤坂の姉妹より 夜の肌」詳細 ②

 安保反対のデモのシーンは実写かエキストラか判別できない部分があります。国会議事堂前でわざわざエキストラを雇って撮影するほど悠長な時勢であったか疑問です。とすれば実写を撮ったことも十分考えられます。
 デモ隊の中には笑っている若者もいます。エキストラに笑わせるだろうか?と考えると実写の可能性も大と思います。聞くところによると、当時デモに参加した若者は安保の法令を読んでいなかった、といいますからニヤけるのもむべなるかなと感じます。


 安保闘争の議論の中で社会主義系としてヒラリーの『自己疎外と〇〇←読み取れませんでした』という本が出てきます。この書名は架空のようです。55年体制以降自民党中心で動いていた世の中で赤坂の花柳界もリンクしていたわけですが、どこまで社会主義系の政治家や学者、若者が赤坂の町に馴染んでいたか、ぼくには判りません。ただ安保闘争に関わる人員がいても不思議ではありません。監督の川島雄三の関心が強かったことは言えるでしょう。
 料亭の女将さん役の山岡久乃が、
「赤坂の町も先が見えてきたってこと。オリンピック過ぎたらどうなることか分かったもんじゃない」
と言うセリフがあります。早くもそんなことが裏でささやかれていたのか、とちょっとびっくりしました。祖母が昭和42年に金庫を退職する下地にこのような意識がすでにあったのかもしれないです。
 戦後まもなくの赤坂の復興がだいぶ進んだ状況で、今度は現代文明の波が古き良き文化を排除していったと見ることができます。


 主演が淡島千景というのはちょっと物足りない感じがありますが、山田五十鈴では貫禄があり過ぎます。京マチ子では関西色が強く、乙羽信子では華やかさが足りない、高峰秀子はタイプが違います。山本富士子ではアクが強すぎる、など考えると消去法で淡島と考えられます。ただ現実の赤坂のオバさま方は乙羽信子タイプが多いような気がします。


 縁日の実写風景は赤坂の知っている顔を探してしまいました。


 伊藤雄之助の政治家役はこなれています。淡島や久慈あさみを弄ぶ役柄です。フランキー堺は新珠三千代の恋人役ですが、香港やブラジルに飛んでいってしまいます。久慈は社会主義系学者の三橋達也に別れを告げ社会党系の伊藤に接近します。淡島に袖にされた田崎潤の仕返しもあります。
 山岡が淡島にキツい言葉を切り口上で告げます。これなどは一番ピリッとさせる場面ですが、現実の赤坂の人は違っていただろうと思います。山岡のような色気に乏しいオバサンがギスギスした口調で言うんではなく、脂の乗ったいい女が思いやりを残して苦言を告げるのだと思います。


 料亭での宴会のシーンは総理大臣まで登場して、短い時間ですが芸者衆の歌舞音曲まで披露します。料亭の店舗の外観は「A田」に似ています。

 高峰秀子は出演していませんが、参考のため。

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