赤坂表町の家の2階
表町の家の2階は貸していました。住んでいた人はほとんど訳ありの人たちで、二号さんとかお妾さんが多かったです。
お酒メーカーNの重役Tさんは子爵だか男爵のNさんのお嬢さんを囲っていました。だいぶ若い女性のように見受けました。
地下鉄総裁はYさんという妙齢の女性を住まわせていました。Yさんは時々赤坂のからす亭から出前を頼んでいました。地下鉄総裁は相当な年配の人に見えました。総裁が2階に上がっていく時、ハイハイしかできない赤ん坊のぼくは中階段を見上げ、今ダンナが上がっていったよと祖母と母に報告します。声を出さず親指を立ててダンナ!の合図を送ります。