父がポツリと言ったこと
父の浮気相手Tというのは洋装学校の講師で自立していました。ぼくがもしその女性に引き取られたらどんな人生だったろう?と何度か考えたことがあります。
母より4歳ほど若く、カルチャー系の講師という身分で今でいう肉食系だったと思います。父が魅かれたのは、ぼくの感じでは岩崎良美似だったからでは?と思うのです。なぜかと言うと、70年代岩崎良美がデビューしたころテレビに出てくると、父がポツリと岩崎良美はいいなぁ、と言ったからです。
ただ、つきあうきっかけになったであろうモーションはあちらからだったでしょう。
それはそうですが、ぼくにとって少なくとも母よりは子どもの将来を考えられる人だったのではと思ったりします。
父はしょうがないです。生い立ちが生い立ちですから。母は見栄っ張りですが、先のことを全然考えられない人でした。
Tは上昇志向もあり手に職を持った女性だったのです。
ぼくが一番尊敬しているのは祖母です。明治生まれで離婚を二度経験し、なおかつ職業を持ち戦前戦後の経済活動は男勝りでした。金の亡者では決してありません。教養はありました。
祖母が亡くなったときに思ったのはあの世とメールのやりとりができないものか、と。魂だけ宇宙のどこかで生存していてメッセージのやりとりができれば寂しくはない、と思ったものです。オカルトや宗教の話をしているのではありません。