音楽とリズム感 その2
パット・メセニーとジョン・スコフィールド(以下ジョンスコ)は共にギタリストであるが、共演している。共通項は流麗なフレージング、縦ノリではなく横ノリ。
二人が共演しているアルバムI Can See Your House From Hereを聴くと各人の違いが分かりやすい。
編成は4人でメセニー、ジョンスコ、スティーヴ・スワロウ、ビル・ステュワートというメンバー。
聴いてみるとまずジョンスコの後ノリ風のフレージングが目立つ。プロもしくはアマチュアが聴いてもジョンスコの遅れ気味のギターは手に取るようにわかる。だからリスナーたちはジョンスコを後ノリと位置づける。
John Scofield and Pat Metheny - Everybody's Party [part 1]
それは至極常識的ではあるが、本論では別の角度で述べたい。
すなわちジョンスコはそれでも前ベクトルだ、ということである。
ジョンスコはAHH型なので前ベクトルなのだ。実は4人とも前ベクトル。
メセニーはHVH型。ジャコ・パストリアスもHVH型。
エレキ・ベースのスワロウはVIV型。
ドラムスのスチュワートはIVA型。この人はJ.Sバッハと同じタイプ。
スワロウは縦ノリ、スチュワートも縦ノリだ。
4人を映像でイメージすると、お神輿かつぎの神輿そのものが楽曲のノリとすれば、進行方向すぐ後ろで前を向いてかついでいるのはメセニーである。
神輿より前で前を向いているのはスワロウとスチュワートである。スワロウはゲイリー・バートン・グループでお馴染み。先駆的傾向で前ベクトルなのは資質の問題でカーラ・ブレイの夫でイェール大学出身であることとはこの際関係ない。
お神輿かつぎのかなり後ろのほうで前を向いているのがジョンスコである。
ジョンスコはパット・マルティーノとも共演している。マルティーノはメセニーと違うタイプで縦ノリの前ベクトルである。
ジョンスコは生前のジャコ・パストリアスとも共演しているが、流麗なフレージングのジャコも舌を巻くほどそれは流麗であり、後続的傾向だ。
パット・メセニーはデビューアルバムでジャコと共演している。メセニーも流麗であるがジャコより若干先駆的傾向がある。
もしベースやドラムスが先駆的後ろベクトルの場合、楽曲のノリすなわちある事象に「開示」する。例:スタンリー・クラーク(eb),ピーター・アースキン(ds)
だとするとスワロウとスチュワートは「了解」しているわけだ。
だが「了解」と「開示」には若干疑問が残る。今後の研究対象である。