昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

ずーっと、小唄が鳴ってる

 ぼくは教室のベランダから一階の庭にいる犬を見ていた。犬も不審そうにこっちを見ている。犬の周りにコバエが千匹土星の輪のようにぶんぶん飛んでいる。


 ああ、小唄のSPレコード、庭で蓄音機掛けっぱなしだ、犬ちゃんゴメンね。
 ぼくもシャツは着たけどパンツ履くの忘れちゃった。


 担任の女の先生がもう来ていた。付き添いの女性もそばに立っている。ぼくは二人の間をシャツの裾を手で押し下げすり抜けた。


 何とか自分の定位置にしゃがみ込んだ。みんなが心ン中で不審がってるだろうなと思いつつ知らんぷりしていた。小唄聴こえないふりしてくれ。


 手元に数珠と聴診器がある。聴診器は隣りに来るAクンのものだ。・・っとと。


 下校、下校。


 「あれ福岡の駅かな。ちがう新国立競技場だな」と建築中の建物を見てぼくは言った。女子生徒は鼻で笑った。


 もうItokinビルのところは過ぎて千駄ヶ谷小の交差点だった。なかなか信号が変わらない。隣りに来たヒロミに面白可笑しく話しかけたが、半笑いだ。ヒロミは先に歩いていった女子生徒が気になってるみたいだ。


 後ろから女子二人が合流した。一人はベッキーだ。ヒロミはもう一人の女子とにこやかに話し始めた。
 ぼくはベッキーに「あのビル渋谷だよね」と話しかけた。「ウン」
 渋谷にあんな天空をつんざくような摩天楼あったかなぁ。とぼくは呟いた。


 ベッキーが「小っちゃい本がいっぱい」と言うので後ろを振り返ると、古本屋のミニチュア本が古色蒼然と並んでいた。「ああ」


 明治通り沿いの歩道を歩いている時「あのビル崩れている」とベッキーが言うので、前方上空を見たら、本当にビルがCGアニメみたいに崩れ落ちてってる。


 「下に字幕で、早送りではありません、って」「(笑)」


 急にベッキーが小唄を口ずさみ始めた。
 「へぇ小唄習ってるんだ?変わってるってみんな言うでしょ?」「(ΦωΦ)フフフ…」


 もうすぐ原宿駅だ。





 目が覚めたら頭がズキズキ。いいちこ飲んで二時間寝てしまった。ipodで小唄流しっぱなしだった。膀胱もパンパンだ。
 
 ベッキー大ッ嫌いなのに。

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