昭和レトロな赤坂の思い出

昭和レトロな思い出を書きます。主に赤坂中心ですが、東京近郊にわたると思います。
趣味の話も書くつもりです。

岩田専太郎

 挿絵画家岩田専太郎は明治34年6月8日生まれ。挿絵は江戸川乱歩作品などで見ていた。何となく色気があるし、モダーンな感じで好きだった。


 映画「蛇姫様」を検索したら原作川口松太郎で挿絵は岩田専太郎と、あった。
 時代劇にも合う。江戸の粋が出ている。

 「蛇姫様」原作川口松太郎の挿絵


 それに加えてかなり動きがある。一コマで動きを感じさせる画はぼくらの世代だと桑田次郎が筆頭に来る。原作は昭和14年だというから祖母は読んでいたかもしれない、と思ったりする。


 小村雪岱の画を祖母に見せたことがある。あまりいいと思わなかったようだ。確かに小村の画はデッサン的には幼稚かもしれないが、どこか魅力がある。鏑木清方の大人の魅力とは少しちがったものだ。清方のような巨匠でも文学作品の挿絵を描いていた。


 岩田専太郎に話を戻すと、岩田は伊東深水の弟子だそうだ。伊東深水と同世代の日本画家たちの絵画は鎌倉の「鏑木清方記念美術館」で買った『鏑木清方と七絃会』という日本画家集(伊東深水は挿絵のみ)の中に載っていて、さらに大正~昭和の文学、小説の挿絵画集も含まれていた。


 清方と七絃会とはまた違うモダーンさが岩田専太郎の画に見て取れる。構図が斬新だ。それと印刷技術の関係でグラデーションの濃淡がなくコントラストがはっきりしている中で、これだけの表現はすごいと思う。

 「爪」という画。
 これなどは少し伊東深水の路線が垣間見える。深水の挿絵は普通だが、日本画はややバタ臭い。ちなみに寺島紫明の挿絵はつげ義春のような構図でアヴァンギャルドだ。
 

 これもおそらく「蛇姫様」
 顔は何となく瑳峨三智子を想起させる。



 で、映画の「蛇姫様」を見たが、瑳峨三智子は確かに美しかった。昭和34年ではあるが、女優のほとんどがつけまつげをバタバタさせていた。瑳峨はたぶん整形前だと思う。セリフも言葉が立っていて立派なものだった。主役の雷蔵を食わないように演技は抑え気味のような感じがした。
 瑳峨の美しさがアジア的とすると楊貴妃はこんな感じだったのではないか、と思わせる。大映の「楊貴妃」は傑作だったが、京マチ子は楊貴妃に似合わない。


 旅回り一座の女座長的なお島役は近藤美恵子という女優だったが、この人も十分美人だった。昭和34年にしてはナウい。松雪泰子と斎藤由貴と應蘭芳(プレイガールなどでお馴染みの女優)を混ぜてしかも三人より美人な容貌である。70年代風の、ジーンズも着こなしてしまいそうなナウさだ。この女優さんは生まれたのが早すぎた。


 ただ、このDVDの欠点はデジタルリマスターではないようで、画質はあまり良くなかった。元々大映のカラー作品はあまり画質がよくない。セットや衣装に莫大な金をつぎ込んでいそうなので、画質は今イチなのかもしれない。


 将来リマスター化されブルーレイになれば見直すチャンスがあるかもしれない。

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